
「疲れやすいのは栄養のせい?」
「体重が落ちにくい理由を知りたい」
「サプリと食事、どちらで摂ればいい?」
本記事では成分「カルニチン」を基礎からやさしく解説します。働きのしくみ、期待できるポイントと注意点、1日の目安量、食品での摂り方を信頼できる情報に基づいて整理しています。
カルニチンについて興味をお持ちの方は是非本記事をご覧ください。
カルニチンとはどんな栄養素?
カルニチンは、リジンとメチオニンから体内で合成されるアミノ酸由来成分で、主に長鎖脂肪酸をミトコンドリアへ運びエネルギー産生をサポートします。
赤身肉に多く、L-カルニチンやアセチルL-カルニチンなどの形があり、運動時の脂質代謝を効率化する働きが期待されます。
日常のエネルギー代謝や運動時の脂質利用を後押しし、不足が気になる人の栄養補給をサポートします。
- 脂質をエネルギーに変えるプロセスを支援
- 運動時のスタミナ維持をサポート
- 肉類を控える人・高齢者などの栄養補給に便利
摂りすぎや体質により合わない場合があり、サプリ利用時は表示量・目安量を守ることが重要です。
- 胃部不快感・吐き気などの消化器症状が出ることがある
- 体臭変化(魚臭様)を感じる人もいる
- 医薬品治療の代替にはならない(用法用量の順守が必要)
カルニチンの効果・効能
カルニチンは長鎖脂肪酸をミトコンドリアへ運ぶ脂質代謝の運搬役。運動時の脂質利用や筋グリコーゲン節約を助け、エネルギー産生を効率化するはたらきが知られています。
研究では、運動パフォーマンスや回復に関する有用性は「示唆はあるが一貫せず、追加検証が必要」とまとめられています。
減量効果は小さく、生活習慣の見直しと併用して栄養面からサポートする位置づけです。公的機関は「健康な成人は体内合成で必要量を満たすため必須栄養素ではない」としています。
どのような人におすすめ?
食事や体質でカルニチン摂取が少ない/代謝サポートを意識したい人の栄養の下支えとして検討されます(医薬品の代替ではありません)。
- 肉類を控えがち・菜食中心の人(食事由来の摂取が少ないため)
- 高齢者・体づくり中の人など、運動時のエネルギー代謝を意識したい人(研究では示唆にとどまる)
- 体内合成や摂取が不足しやすい特定状況の人(一般論。個別の治療は医師判断)
1日の摂取目安
カルニチンには公的な摂取基準(DRI/推奨量)は設定されていません。健康な人は通常、体内合成と食事で必要量を満たします。サプリを使う場合は製品表示を守り、体調に合わせて少量から。3 g/日程度で胃腸症状などが報告されています。
| 区分 | 目安量・範囲 |
|---|---|
| 公的基準 | 設定なし(必須栄養素ではない) |
| 食事からの摂取 | 雑食で約24–145 mg/日、菜食で約1.2 mg/日 |
| サプリの参考範囲(一般的) | 500–2,000 mg/日(L-カルニチン/ALCARの臨床研究で多用) |
| 安全性の目安 | 3 g/日前後で吐き気・下痢・体臭などの報告/耐容試験でL-カルニチンとして~2 g/日相当が許容 |
医薬品としてのカルニチン投与量(欠乏症治療など)は別概念です。サプリの自己判断で医療目的に用いないでください。
参考: 日本小児科学会
- 厚生労働省 eJIM「カルニチン(医療者向け)」:食事摂取量や体内合成の解説。 厚生労働省eJIM「統合医療」情報発信サイト
- 米国NIH ODS「Carnitine—Health Professional Fact Sheet」:必要性、摂取源、研究総括、過剰摂取リスク。 栄養補助食品局
- EFSA関連評価まとめ(VKM報告):L-カルニチンの耐容性(L-カルニチンとして約2 g/日相当)。 vkm.no
カルニチンが含まれている食品
含有量の目安
| 食品(加熱調理) | 目安の1食量 | カルニチン量/1食 | 食事から約100mgとるには* |
|---|---|---|---|
| 牛ステーキ(赤身) | 4オンス(約113g) | 56–162 mg | 約0.6–1.8食 |
| 牛ひき肉 | 4オンス(約113g) | 87–99 mg | 約1.0–1.2食 |
| 豚肉(赤身) | 3オンス(約85g) | 約24 mg | 約4.2食 |
| 鶏むね肉 | 4オンス(約113g) | 3–5 mg | 約20–33食 |
| タラ | 4オンス(約113g) | 4–7 mg | 約14–25食 |
| 牛乳(成分無調整) | 1カップ(240ml) | 約8 mg | 約12–13杯 |
| チェダーチーズ | 2オンス(約57g) | 約2 mg | 約50食分 |
おすすめの料理(実践しやすさ&栄養バランス重視)
カルニチンは赤身肉に多い一方、脂質やエネルギーの摂り過ぎには注意が必要です。週の食事に赤身肉を上手に取り入れつつ、野菜・全粒穀物を合わせてバランスを整えるのがコツ。
以下は主材料の量から見込めるおおよその含有量です(実際の出来上がり量で変動)。
| 料理名 | 主材料の例 | 主材料量 | 見込カルニチン量(目安) | 工夫のポイント |
|---|---|---|---|---|
| 赤身牛ステーキ+温野菜 | 牛もも/ランプ | 150g | 約75–215 mg | 赤身を選び、焼き油は控えめ。塩胡椒+レモンでさっぱり。 |
| 牛ひき肉のチリコンカン | 牛ひき肉+豆 | 120g(肉) | 約92–105 mg | 豆とトマトで食物繊維・カリウムを補い脂質バランスを調整。 |
| ラムの香草グリル | ラム赤身 | 120g | ~48 mg/100g相当 → 約58 mg | 香草&ヨーグルト漬けで塩分控えめ・香り良く。 |
| ローストポーク(肩/もも) | 豚赤身 | 150g | 約42 mg(※24 mg/85g換算) | 脂を落とす焼き方にして、付け合わせは葉物中心に。 |
| タラと野菜のホイル焼き | タラ | 150g | 約5–9 mg | 低脂質メニュー。赤身肉の日と交互に取り入れてバランス良く。 |
カルニチンに関するよくあるQ&A
- カルニチンの効果は?
-
長鎖脂肪酸をミトコンドリアへ運ぶ“運搬役”としてエネルギー産生を支えます。運動時の脂質利用を後押しする可能性は示唆されていますが、体重減少などの効果は一貫せず、生活習慣の見直しと併用する補助的な位置づけです。
- いつ飲むのが良い?
-
公的な最適タイミングは定まっていません。一般に、運動前や食後など胃への負担が少ない時間帯に分けて摂ると続けやすいです。まずは少量から開始し、製品の表示量を守って体調に合わせて調整しましょう。
- 1日の摂取量の目安は?
-
公式の推奨量は設定されていません。サプリでは500〜2,000mg/日が研究で使われる範囲ですが個人差があります。食事と体調を考慮し、まずは表示量の下限から。過剰摂取は避け、異常があれば使用を中止してください。
- 食品では何に多い?
-
赤身の牛肉や羊肉に多く、豚肉や魚、乳製品にも少量含まれます。菜食中心だと摂取量が少なくなりがちです。まずは主食・主菜・副菜のバランスを整えつつ、赤身肉を適量取り入れるのが現実的な方法です。
- カルニチンはダイエットに役立つ?
-
カルニチン単独で大きな減量効果が得られるという確立した根拠は限定的です。食事管理と運動が基本で、サプリは補助。摂り過ぎればエネルギー過多にもつながるため、全体のカロリーと脂質バランスを優先しましょう。
- 筋トレとの相性は?
-
運動時の脂質利用を支える可能性はありますが、筋力や筋肥大を直接高める栄養素ではありません。たんぱく質、睡眠、計画的トレーニングが土台。必要に応じてプレワークアウト前の少量摂取を試す程度が無難です。
- 副作用はある?
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サプリで胃部不快感、吐き気、下痢、体臭の変化(魚臭様)などが報告されています。体質差があるため、少量から始めて様子を見るのが基本。体調に異常を感じたら中止し、持病や薬のある方は医療者へ相談してください。
- 他成分と併用は?
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一般的な栄養成分との併用は行われますが“相乗効果”を断定できる十分な根拠は限られます。カフェインや脂質代謝系サプリとの重ね摂りで胃腸刺激や摂り過ぎに注意。医薬品を服用中なら事前に確認しましょう。
- ALCARとの違いは?
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L-カルニチンは主に脂質の運搬役。アセチルL-カルニチン(ALCAR)は化学的にアセチル基が付いた形で、体内でL-カルニチンに変わります。吸収や体内動態の違いが議論されますが、優劣を断定する根拠は限定的です。
- ベジタリアンはどう摂ればいい?
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植物性食品の含有量は少ないため、菜食中心では総摂取が少なめになりがちです。まずは全体のたんぱく質源を確保し、必要に応じて強化食品やサプリを検討。自己判断での大量摂取は避け、表示量を厳守してください。

