リハビリテーション科

診療科・部門

業務内容

理学療法(Physical Therapy:PT):身体に障害のある方に対して、主としてその基本的動作能力(寝返り、起き上がり、歩行等)の回復を図るための治療を行っております。
作業療法(Occupational Therapy:OT):身体または精神に障害があるまたはそれが予測される方に対して、その主体的な生活(日常生活動作:食事、排泄など 生活関連動作:買い物や家の掃除など)の獲得を図るため、作業活動を用いて、治療、指導および援助を行っております。
言語聴覚療法(Speech and language Therapy:ST):主に言語能力や聴覚能力などのコミュニケーション能力の向上を目的とした治療や、嚥下障害防止の指導も行っております。
訪問リハビリテーション:在宅復帰後の安全安心な生活が送れるようなリハビリテーションの支援を行っております。

スタッフ紹介

リハビリテーション科の人員は、現在27名(理学療法士15名、作業療法士7名、言語聴覚士5名)です。量だけでなく質も伴っていると自負しております

スタッフ集合写真
作業療法士
人物のシルエット
作業療法士

平成26年度に診療報酬の改定があり、作業療法士が心疾患の患者さんに介入することが可能となりました。それと同時に、循環器病棟専従者として、今年度より勤務させて頂くこととなり、責任の重大さを感じつつ日々の業務に取り組んでいます。対象者としては、急性に心筋梗塞を発症した方や慢性的に心不全をお持ちの方など様々です。心疾患をお持ちの患者さんは、今まで継続していた趣味ができなくなったり、活動に制限をされたり、肉体的にも精神的にも大変なショックを抱えることとなります。その為に作業療法士は、患者さんと支持的に関わりながら、現在の心機能に応じた活動量の提示や、心臓への負担を軽減する動作の指導、住環境の整備、疾患の自己管理が可能となるよう指導を行っていきます。特に心不全の患者さんは、退院後に食事や運動、服薬などの自己管理が十分にできていないことで、入退院を繰り返してしまう方も少なくありません。その為、抑うつ傾向となってしまう方も多いのが現状です。治療をすれば終わりなのではなく、今後に人生を患者さんが疾患とどううまく付き合っていくことができるのかを共に考え、身体のみではなく精神的な回復を図っていくことを目標に関わることを重視しています。

訪問リハ担当
人物のシルエット
訪問リハ担当

作業療法士として3年目を迎え、本年度より訪問リハビリをさせて頂いております。
これまでは、患者さんのADL(生活活動動作)、IADL(家事などの手段的日常動作)などの再獲得、大切にしている作業(趣味活動)の再開を中心に病院での作業療法を実施してきました。しかし在宅では病気を患うことをきっかけに、在宅復帰後も精神機能が低下し、閉じこもりがちになっていく方が少なくありません。訪問リハビリでは実際に利用者さんの御自宅へ伺い、共に生活や病気との付き合い方を考え、繰り返しADL,IADL、趣味活動を実施、実施方法の再検討をしていくことで、動作に対する自信を取り戻し、再び利用者さんとご家族が笑顔で過ごせる環境作り、新たな動作方法の獲得を目指して、訪問リハビリでの作業療法を実施して行きたいと思っております。

“シームレスな
リハビリテーション”を目指して

リハビリテーション科では、急性期から在宅までの”シームレス・リハビリテーション”を提供することを心がけています。老いても障害を負っても、それぞれの方がそれぞれの場所で、再びその人らしく生きていけるよう支援していきたいと考えています。そのためにも、可能な限り発症早期よりリハビリテーションを展開しています

“シームレスなリハビリテーション

“シームレス・リハビリテーション”発症直後の患者さんに対してもICUを中心にベッドサイドでリスク管理に重点を置き介入しています。二次的合併症や廃用症候群の予防に努め、病棟でできるだけ早期にADL(日常生活活動)能力が向上できるよう各療法士が協力しています。また言語療法士を中心に高次脳機能障害や摂食・嚥下障害に対しても積極的にアプローチを行っています。
在宅復帰に際しては、看護師と協力し病棟でも積極的にリハビリテーションを実施し、退院前に必要なADL能力の獲得を目指しています。在宅復帰に際し不安のある患者さんに対しては理学療法士を中心に退院前訪問指導を積極的に行っています。 更に在宅復帰後のフォローアップや身体機能の維持・向上を目的として、当院を退院された患者さんに対しては介護保険下での訪問リハビリテーションも提供しています。

私たちはこんな治療を
行っています

「理学療法」「作業療法」「言語療法」。皆さんは、これらの違いをご存知でしょうか?ここでは当院で行っているリハビリテーションについて、簡単にご説明します。

1 理学療法

運動麻痺や関節可動域制限、筋力低下などの機能の回復・改善を図ります。
また起居動作や移乗動作、歩行などの移動動作の阻害となっている原因を探り、患者さんに適した動作方法の練習や指導を行います。

ベッドサイドでの介入・呼吸リハビリテーション

ベッドサイドでの介入・
呼吸リハビリテーション

まずは呼吸器疾患の合併症予防を行い、全身の状態が落ち着いてきたら徐々にベッドから起こしていきます。ベッド上で座れるようになったら車椅子乗車、リハ室での訓練へと順次離床を図っていきます。

リハ室での介入

リハ室での介入

リハ室では運動麻痺の回復を図ると同時に、基本動作や日常生活動作の獲得を目指したアプローチを行っています。リハ室で実施できない患者さんに対してもベッドサイドで可能な限り介入を行っています。

退院前訪問指導

在宅復帰前に理学療法士がご自宅へ伺い、実際の生活場面における動作・介助指導を行っています。またケアマネージャーにも同行して頂き、住宅改修や介護保険下でのサービスの導入を検討します。患者さんとご家族が安心して在宅復帰が果たせるように支援しています。

2 作業療法

身体機能や高次脳機能の障害に対する機能回復・改善を図ります。
また食事、更衣、整容、トイレ動作など日常生活に必要な動作の練習・指導を行っています。

食事場面での介入

食事場面での介入

車椅子に乗車できる患者さんは、できる限りベッドから離れて食事を取るようにしています。作業療法士が中心となり食事動作の介助や食事前のシーティング、ベッド上でのポジショニングを行っています。

病棟での介入・ADL練習

病棟での介入・ADL練習

退院後の生活を見据えながら、患者さん一人ひとりに即した方法や環境設定において動作練習を行います。実生活に近い病棟での練習を取り入れ、看護師と協力して家族への指導も行っています。

リハ室での介入

リハ室での介入

リハ室では動作の基本となる機能の回復を図るとともに、患者さんの趣味活動の獲得や職業復帰になどに即して、一人ひとりの患者さんに適したリハビリテーションが提供できるように心掛けています。

3 言語療法

話す・聞く・読む・書くといった「コミュニケーション」に様々な問題を持つ患者さんに対する評価・治療を実施しています。
対象となる主な症状は、失語症(言いたいことばが出てこない、相手のことばが理解できない)、構音障害(呂律が回らない)、摂食嚥下障害(食べ物や水分がうまく飲み込めない)、高次脳機能障害(注意、記憶、思考、行為、意欲などの障害)です。また脳血管疾患の手術前後の、認知機能の評価も行っています。
評価・訓練は言語聴覚士と1対1で行います。症状や重症度などの応じた教材・課題を用いてコミュニケーション能力の改善・獲得を目指します。

4 摂食・嚥下機能療法

摂食・嚥下機能療法

摂食・嚥下機能の客観的評価に基づき、患者さん一人ひとりにあった訓練や食形態を選択します。看護部・栄養科とも協力し合って”食べる”機能の回復を図ります。
患者さんご本人への働き掛けはもちろんのこと、ご家族に対しても、日々のことばの状態やコミュニケーションの取り方についてお話させて頂くことがあります。
退院後のスムーズな家庭・社会復帰につながるように、他職種と連携しながら訓練・援助を行っていきます。 摂食・嚥下機能療法

5 装具療法

装具療法

当科では装具療法を行っており、装具の作成にあたってはスタッフ間で検討を重ね、患者さんに最適な装具を処方・作製しています。

6 訪問リハビリテーション

当院では、患者さんが退院される前に関連職種と共にご自宅に伺い、訪問指導を行っています。また退院後の生活安定を目的として、主に退院前訪問指導を行った患者さんを対象に訪問リハビリテーションを行っています。

対象者 当院から在宅復帰し、
介護保険の認定を受けている方
対象地域 江戸川区内(一部除く)中心
訪問時間帯 9:00~17:00
訪問曜日 月曜日~土曜日(祝祭日除く)

質の高いリハビリテーションを
提供するために

リハビリテーション科では、質の高いリハビリテーションを提供するために、部門単独であったり他部門に協力を仰いだりして取り組んでいることがあります。以下に簡単にご紹介させていただきます。

7 チームアプローチ

申し送り

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が一堂に会して、新規の患者さんや変化のあった患者さんについての報告会を15分程度実施して情報の共有を図っています。

病棟カンファレンス

各病棟に他職種が集まり、各患者さんの身体機能に応じた療養(病棟)での対応について、また今後の転帰に関しての話し合いなど行っています。

合同カンファレンス

退院を控えた患者さん等に対し、MSW(メディカルソーシャルワーカー)や看護師、PT、OT、などの病院職員の他に、地域の社会資源(ケアマネージャなど)の方々と連携して話し合いを行い、安全に家庭復帰できるよう支援しております。

ケース検討会

「患者こそが最高の師である」を合言葉に、患者さんのニードの聴取ができているか、個別性に合わせたリハビリテーションプログラムやゴールの設定などができているか、各ユニットで確認・検討する機会を設けております。

8 教育制度

プリセプター制度

卒後3年間はプリセプターからの支援が受けられる体制としています。入職直後は職場に慣れるため(リアリティショックを受けることのないよう)、その後は専門職業職者としての成長を促すための制度です。

5年間の教育支援制度

専門職業職者のみならず社会人としての成長を促すための制度です。

ジョブ・ローテーション

4ユニット(脳外・心外ユニット、整形外科・消化器外科内科ユニット、回復期ユニット、訪問ユニット)に担当を分割し、専門学習が集中的に行えるようにしています。なお、それぞれの担当期間は1年を目安に、セラピストとしての経験が徐々に広がりを持てる(正統的周辺参加)制度です。

その他

部署内勉強会の開催や学会研修会への参加なども積極的に行っております。